本格小説?

 水村美苗ではない。香山リカである。『精神科医ミツルの妄想気分』というのが出るので、ああ久しぶりの小説だなあと思ってアマゾンで見たら「著者初の本格小説」とある。じゃあ『えんじぇる』は本格小説ではなかったのか。手すさび小説だったのか。

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 書店で、中田喜直伝が私の本の隣にあった。嫌煙家中田の伝記の隣なぞけったくそ悪いから遠ざけておいた。
『人を惚れさせる男 吉行淳之介伝』が出ていたので購入、読み始めていきなり「美人看護師」とあったからげんなりして放り出した。看護婦でいいではないか看護婦で。
 だいたい『面白半分』の発行者で『四畳半襖の下張り』裁判で戦った男が、看護婦を自動的に看護師に変えるなどという、別に誰も強制していない、ぶきみな言語統制の力に無自覚だなどというのは困ったものだ。「女性看護師」なんて書くやつは、文学を語る資格なし。
 というわけで、この本はブックオフへ直行するかもしれない。

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久しぶりに大橋先生である。
http://d.hatena.ne.jp/rento/20090426
 「三遍尋ねて人を疑え」というが、実際「三遍尋ねて間違いと言え」というところはあって、私も最近は注意深くなったが、若い頃はよく、間違いでないものを間違いだと言ってあとで恥じたりしたものだ。たとえば「樵夫」を「しょうふ」と読んだ人に、ショウフなわけないだろう、キコリだろうと言って笑ったのだが、ショウフでいいのであった、とか。