片岡直子と小池昌代

前に掲載して、どうでもいいかと思って消したものだが、未だに議論している者らがいるので再掲する。

 『文学界』の2005年11月号に載っていた片岡直子の文章を今ごろ読んだ。ちょっとした人気詩人・小池昌代の詩や小説が、先行する詩や小説から影響を受けているという趣旨で、「盗作」とか「剽窃」とかは書いていないが、小池を批判するものである。しかし読んでみると、とても小池が片岡の批判に値することをやっているとは思えない。最後のほうで、片岡が小池に対して書いた文章も剽窃されていると主張しているあたりは、被害妄想ではないかと思えた。片岡は、よろしくハロルド・ブルームの『影響の不安』を読むべきではないだろうか。邦訳も出たし。
 というか、この程度でオリジナリティーがどうとか言うなら、川上弘美センセイの鞄』から大道珠貴「しょっぱいドライブ」、小川洋子博士の愛した数式』に至る、中年老年男と比較的若い女の交情交遊という流れはどうなるのか。それこそ新しく「小説から遠く離れて」が書けそうである。