『文學界』11月号の「新人小説月評」の冒頭で福永信が、「大波小波。九月十六日夕刊。出てこい。お尻ぺんぺんしてやる」と書いていたから、何ごとならんと図書館で東京新聞を見てきたら、途中で斎藤美奈子の「軍の強制がなかったと決まったわけではない」とかいう精神衛生に悪いものを見てしまい(だから新聞をとるのやめたんだ)、たどりつくと大波小波、「新人小説月評」に触れ、後半で、お定まりの、これがなんで新人だ、をやっていた。小池昌代がなんで新人だ、というんだが、小池昌代が新人でないなら鹿島田真希だって柴崎友香だって新人じゃないということになろう。それはいいのだがそのあと、なんで佐藤洋二郎が新人だ、というのが続いて、福永は佐藤洋二郎を知らんのか、編集者は知らんのかと書いてある。確かに変といえば変で、それなら片岡義男だって新人になる。
 だが、これを書いたのは佐藤洋二郎ではないかという疑念を起こさせてしょうがないということのほうが問題だろう。もし違っていたら佐藤氏に冤罪をかけることになる。だから匿名批評はいけないのである。