長山靖生さまへ

 長山靖生氏が新刊『貧乏するにも程がある』(光文社新書)で、おおけなくも私の小説に触れて下さっている。
(活字化のため削除)
 どうも、この人は文学と倫理の関係についてちゃんと考えたことがあるのだろうか。ほかにも、たとえば96pに「作家の自殺率は高い」という意味のことが書いてあるが、これはかつて竹内久美子が、「画家は長生きだ」と書いて、『トンデモ本の世界』で、統計があるのかと言われたのを思い出させる。それから、217p、谷崎は佐藤春夫に妻を譲って、そこから『蓼食う虫』を書いたとあるが、あれは和田六郎の方だろう。
 あと、石田純一に「不倫は文化だ」という名言がある、と書いているが、あれは以前千田有紀が書いていたところによると「『源氏物語』みたいな世界もあるわけで、不倫といっても文化によってさまざまで」とかそういう発言だったという。