前にここで、佐藤優の悪口を書いておいて、どうでも良くなって消したのだが、相変わらずあちこちで褒められていて、私にはちっとも分からないのである。まあ佐藤自身の外務官僚としての経験とか獄中体験が面白いというなら別にいいのだが、おかしな文化論やら思想論やらを展開するのが、これが分からん。『一冊の本』に連載されている魚住昭によるインタビューでも、「日本人というのは、精一杯頑張ったんだからだめでもいいじゃないか、というところがあるが、超越神のあるところではそうはいかない」(大意)などと言っているのだが、いったい日本のどの時代のどこに、そんな傾向があるのか、まるで分からぬし、論証もされていない。戦国武将にせよ徳川武士にせよ明治期の政治家にせよ藝能の世界にせよ、そんな傾向があるとは全然思えないのである。戦後日本が甘くなったというなら分からんでもないが、それは戦後日本の特殊事情であって、超越神とは何の関係もない。ところが佐藤はそのあとすぐ、「日本人の集団主義という説は認めていない」などと言い出す。自分でおかしな日本文化論を展開しておいて、何じゃい。
 納得ゆかぬまま、その次にある鹿島茂の連載を読んだら、杉山茂丸頭山満は、どこが偉いのかよく分からないが、人々はその人格の前に圧倒されるようなところがあったのだ、と書いてあった。それで、ははあ、佐藤優も、この杉山、頭山の類であるな、と気づいたのである。
 私はもう一つ、丸山真男という人の、どこがそんなに偉かったり凄かったりするのか分からないのである。だから、賞賛論はもちろん、批判するものに対しても、ピンと来ない。何をしたから丸山は凄いのか、誰か教えてくれないだろうか。