里見弴原作の映画(1941)

 1941年2月の井上金太郎監督「東京から来た武士」は里見弴原作らしい。見落としていた。1932年のエルンスト・ルビッチ私の殺した男」をもとにした翻案ものである。「私の殺した男」は、第一次大戦でドイツ人の青年を殺してしまったフランス人ポールが、ホルダーリンという青年の実家を訪ねて詫びようとする話だが、全編英語である。しかしポールは、真相を殺された青年の許嫁エルザに話し、母親にも告げようとするのをエルザに止められ、両親はポールが息子の友達だと信じたまま、ポールがヴァイオリンで「トロイメライ」を弾き、エルザがピアノで伴奏を始めたところで終わる。

movie.walkerplus.com 「東京から来た武士」は、明治初年、新選組隊士だった男が、かつて殺した男の家族に詫びるため京都にやってくるが、ついに真相は告げられないという話らしい。だが原作が発表されたかどうかも分からないし、フィルムも残っているか分からない。私が作った「詳細年譜」では、1940年12月に「この頃稲垣浩の映画のストーリーを頼まれるか。」とあるから、これが発展したものだろう。