片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』が売れていたころ、中学時代の友人と電話で話していたら、この小説の話になり、「どうして誰も言わないの、エリスンの作品の題名のパクリだって」と言うから、それはさんざん言われている、と言ったことがある。
 世間にはまま、こういう「どうして誰も言わないの」式のことを言う人がいて、内田樹先生なども、批評家はみな村上春樹を嫌っていると思っていたくらいである。いったいこういうことを言う人は、自分が知っている世界以外にも世界はあるということに気づかないのであろうか。