大塚ひかり訳源氏の完成

 ちくま文庫源氏物語』最終巻が届いた。「谷崎源氏」完成時(刊行はまだ)の泉鏡花の祝電鏡「ムラサキノハナマヅヒラク ゴホンクハイサコソオイハヒマウシアグ」。返電「ムサシノノクサヲユカリノカゴトニテイマムラサキノハナモハヅカシ」。

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かもめのジョナサン』は宗教書として売れた。注意深く調べるなら、ベストセラーとなった小説の多くは、文学としてではなく宗教書として売れている。カラマーゾフの兄弟もそうだ。そして多くの作家が、ネタが切れると僧侶の伝記小説を書き、それが売れて息を吹き返す。三田誠広立松和平丹羽文雄五木寛之石原慎太郎など。宮台真司なんかも宗教書を出している。中沢新一瀬戸内寂聴は言うまでもない。よしもとばなな田口ランディもむろん宗教。玄侑宗久なんか宗教書を売るために芥川賞とったようなものだ。

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ご近所に住んでいるらしい日本史学者・堀新氏の「織田信長武家官位」(『共立女子大文芸学部紀要』1999)「明智光秀が朝廷と結んで信長を倒したなら、なぜ細川藤孝宛の書簡でそれを打ち明けなかったのか」(大意)。半村良もびっくり。『天下統一から鎖国へ』という概説書らしいものが出たばかりだが、論文集を出してほしい。