1978年に『レーシングカーに乗った聖者たち』で文藝賞を受賞した寺井澄(きよし)が受賞取り消しになっていた。どうやらこれは、同じ作品を別題名で野性時代新人賞に出していたためらしい。寺井はダンプ運転手で、作品もダンプの世界を描いたもののようだが、中央公論新人賞佳作になって、「トラック野郎の生活と意見」を『中央公論』76年2月号に掲載している。
 しかしこの作品は活字化されていないらしく、そのまま消えている。
 最近では千早茜のように二重投稿していても、先に受賞が決まって連絡したらそれでいいということもあり、二重投稿というのは双方で受賞すると著作権的に困るというだけのことで、倫理的に問題があるわけではないので、これは寺井が気の毒だ。

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 図書館で西村京太郎『D機関情報』文庫を借りてぱらりと見たら「大和の四十六サンチもこれには」のところ「サ」を「イ」に直した鉛筆書きがあった。「サンチ」という表現を知らずにインチだと思ったのだろうが大和主砲は46センチ。46インチなんてばかでかい主砲はない。