江藤淳が、村上龍を「サブカルチャー」と評しながら、田中康夫を高く評価し、梅田香子を推したことはよく話題になるが、堀田あけみに対してどうだったかは不思議なほどに語られない。これ
http://blog.livedoor.jp/ak870507/archives/50868242.html には、
「江藤淳が村上春樹や村上龍を批判したのはそれがあの世代の人間だからではないか。それより年下の梅田香子や堀田あけみや田中康夫は安易に過ぎるくらい簡単に許してるのに。」
などとある。
だが、江藤は堀田あけみを徹底的に批判しているのだ。文藝賞選評を見ると、第一にふくださちの「百色メガネ」を押し、次点で山本三鈴の「みのむし」を推しつつ、
「富岡照剛氏『ぽわん』と堀田あけみ氏『1980 アイコ十六歳』は、いずれも小説の第一義を距たること千里という共通の特徴を示していた。(略)『1980 アイコ十六歳』が才筆で、名古屋弁を駆使したところが面白いとか、校内暴力が描けているとかいうような推賞の辞が、他の三委員(島尾、小島信夫、野間宏)から交々に贈られたことについては、ここに繰り返さない。私はその大部分を認めた上で、この作品を基本的に通俗的な作品と判断し、社会的責任能力のない十七歳の少女に文藝賞を授けることについて、否定的意見を翻すことができなかったのである。」(選評終わり)
としている。