悲しみだけが夢をみる

 私が好きで観ていたNHKの銀河テレビ小説「悲しみだけが夢をみる」(1988)がYTで観られた。これはDVDが出ていないんだから削除しないでほしい。市川森一作、富田靖子有森也実主演である。二人は宝塚の幼馴染で、富田は宝塚駅から宝来橋を渡ったところの老舗旅館水月の一人娘、有森は山本台の植木屋の娘で兄がいる。冨田の母は淡島千景で、元宝塚のスターだが今は旅館の女将さん。二人はタカラジェンヌをめざしてともに宝塚音楽学校を受けるが、有森は受かるが富田は落ち、家出して東京でストリッパーをしていた。それが写真週刊誌に載って居場所が知れ、四年前から旅館で働いているヨシさん(柴俊夫)が迎えに行って連れ戻してきた、というところから話は始まる。
 ところが東京から、高嶋政宏が、富田を追いかけてくる。大学でアメフトをやっていたが、下北沢の下宿にいた富田を好きになってストリップに通いつめ、郡山巡業まで追って行って、部をクビになった。富田の父は家出後に交通事故で死んでいて、富田は知らず、ヨシさんから教えられた。富田は高嶋に冷たいが、高嶋は諦めず、旅館に泊まりこんで、策を練っている。ところがヨシさんは実は殺人犯で、それはもちろん悪くない過失致死みたいなものなんだが、長崎刑務所から脱走してきていたのだ。淡島はそれを知り、富田も知るが、有森の父田村高広は京大卒でなぜか植木屋なんかやっているが、実は昔淡島と恋仲だった。有森の兄は東大卒の警察キャリアで、これが前から富田が好きで、見合い相手に擬せられて、ヨシさんの存在に気づいてしまうというお話。
 ほとんどロケで撮影されていて、宝塚の街の雰囲気がいい。旅館も実物だが、その後宝来橋が大幅に作り替えられて、和風の旅館も今はホテルになっているのが残念だ。
 このドラマのことは『もてない男』に書いたと思うのだが、実は私は、最後のほうは録画しておいたものの、第七回からしか観ていなかった。それで今回最初から観て、高嶋と富田は少なくとも一回は関係していたことを知ったのである。実に24年目の真実で、だから高嶋は追っかけてきたのである。まあそうでなきゃおかしいわな。それを勘違いしたままだった私、ということである。
 そういえば田村高広と有森也実が、実は似ていたことを発見した。