盗作

 須藤鐘一というあまり知られない作家が明治45年に出した『手紙小説 宮と貫一』というのがある。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/888340
 しかしこれ、題名からも分かるとおり『金色夜叉』の書き直しである。『金色夜叉』は明治36年尾崎紅葉の死によって中絶し、小栗風葉が続きを書いて完結させたが、その書き直しで、まるっきりの著作権侵害だが、昔はこういうことが普通に行われたのである。しかも「手紙小説」と謳いつつ、別に書簡体小説ではなく、単に手紙がたくさん出てくるだけなのである。