SFについて

 J・G・バラードが死んだ。このSF作家は浅田彰も褒めていて『ユリイカ』でも特集されたが、私は代表作らしい『沈んだ世界』を途中まで読んで放り出した。その他プリースト『逆転世界』なんてのも、すごい傑作だと書いている人がいたので、我慢して通読したが、やっぱり下らなかった。
 枡野さんに勧められた星新一『声の網』は早速注文しました。ところでふと思い出したのは、星の「りんご」というのを桂米丸がやったことがあって、肝心の落ちが全然面白くなくて唖然としたことがある。だが文庫にもなっている山田洋次の『真二つ』は面白かったんだよなあ。
 吾妻ひでおもSF好きで、私は大学時代、吾妻ファンだったが、そこからSFそのものへは行かなかった。とはいえ、1960年代にSFを面白く思うのは、80年代以降とはやはり違うだろう。だってその間に多くのマンガや映像が出現しているからである。たぶん浅田彰はマンガとか特撮なんて見たことがないのだろう。 

 『スペクトルマン』に「アルジャーノンに花束を」をネタにした回があったが、あの当時はまだ短編版の翻訳しか出ていないから、そっちを読んだのだろう。後になってこの小説が話題になったころ、何だか『スペクトルマン』で観た話と似ているなあ、と思ったものだ。
 ところでしばらくたって長編を読んでみたら、暇つぶしにはいいがそれ以上のものじゃなくて売り払ってしまったが、どうやら感動して涙を流す人とかいるらしい。あれのどこに感動するんだ。