こないだ届いた滝口明祥の『井伏鱒二とちぐはぐな近代』の題名は鷲田清一からとったようだが、あとがきを見ると著者は広島の高校にいて、教師たちの反日の丸・君が代闘争があり、それがために国旗・国家法ができたと書いていて、天皇制がすべての悪のもとであるかのような教師たちに違和感を感じたと書いていて、この人は天皇制が悪いと思っていないのかなあ、と思ってしまった。そう思われてもいいなら、そう書いてもいいが、思われたくないならそういう書き方はすべきでないなあ、と思った。
 何しろ私は、海軍学校の流れをくむ高校へ行き、東大で最も右翼的な大学院へ行ったせいもあって、教師たちが左翼で違和感を感じたという経験がないので、こういうところで引っかかってしまうのである。
 日の丸は別にいいんだけどね。