山東京伝の弟・山東京山が、いくらか悪意をこめて馬琴の伝記として書いた「蛙鳴秘抄」という文書があるのだが、これは日本随筆大成とか燕石十種とかに入っているわけではない。『鈴木牧之全集』の下巻、「山東京山書簡集」の中にある。誰かHTMLにしてくれないかしら。

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書店で沢辺有司『ワケありな本』(彩図社)というのを見つけたが、これはうまい。売れそうだ、と思った。実際には『ロリータ』『チャタレイ夫人』『ボヴァリー夫人』など、猥褻書扱いされたものが半分くらいなのだが、そこに『わが闘争』とか政治的なものをうまく混ぜ込んでいる。
 で、中身やいかに、と田口ランディ『アンテナ』のところを見たら、「盗作は親告罪」というところに注がついていて「告訴がなければ告訴ができない」とあって、萎えた。
 『NHK犯歴簿』の山口玲子も同じことを書いていたのだが、刑事上の著作権法違反は、海賊版などに適用されるもので、内容的な「盗作」は民事である。告訴がなければ告訴が、というか、被害者の告訴がなければ検察は起訴できないとでも言うべきだろう。
 で、左側を見ると「ウェヴ日記から転用」(うろ覚え)という見出しがあって、「ウェヴ」にまた萎えた。

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「凍雲篩雪」(『出版ニュース』)で「李下に冠を正す気もないらしい」と書いたのは間違い。「李下に冠を正さず、という気もないらしい」に直してください。