大友克洋的問題

 私はどうも、というか全然、押井守というアニメ監督のどこがすごいのか分からない。「アニメでハードボイルドやってます」という感じしかしなくて、筋立てがちっとも面白くないのである。もうこの押井守との相性の悪さは、『うる星やつら』の原作からして面白くないという(映画2も面白くない)というところから来ていて、なんか根強いものがある。
 私がちょうど大学一年の頃、大友克洋の『童夢』が出て話題になり、もちろん私も読んですごいと思った。つまり漫画の絵を独自にリアルにしたわけで、まあその他動きとかいろいろあるが省略して言うと、それ自体はすぐに飽きてしまった。亜流も出るし、結局は筋の魅力が乏しい。浦沢直樹の『プルートー』がつまらないのもそれである。
 それをアニメで引き継いだ観があるのが押井で、漫画絵なのにリアルということ自体はもう飽きているから、ただ意味ありげな会話やら何やらが続くだけでえらく退屈なのである。
 私には「ダグラムの恨み」というのがあって、『太陽の牙ダグラム』があまり評価されなかったことを恨んでいる。それに比べると、押井の、いかにもアニメでハードボイルドや政治をやってますという感じがいけ好かない。『エヴァンゲリオン』に影響を与えたといっても、こちらの方がずっと娯楽性の質が高いと思う。