私が大学に入った時、第二外国語として選んだのはドイツ語だった。当時私は、本来の志望だった文学研究からちょっと逸れて、オペラ研究をしたいなどと、楽器もろくにできないのに無茶なことを考えており、オペラの本場といえばイタリアだが、当時はまだ第二…

1946年に二回にわたって『近代文学』に発表され、平野謙の出世作となった「新生論」つまり島崎藤村の『新生』を論じたものが岩波現代文庫『島崎藤村』に入っていたのを読んだ。今ごろ読むのもおかしなものだが、その後の研究もあったから読んでいなかった。…