狂人の相手をしてもなあ・・・。

 中村うさぎの『狂人失格』を、書評用に読んだのだが、まあ正直言って、狂人の相手をしてもなあ、というところである。
 うさぎさん、相変わらず計算しているなー、という印象である。自分がさほどダメージを受けない相手を選んでいる。せいぜい、角川書店から顰蹙をかい、時々変なメールが送りつけられてくる程度の迷惑しかこうむってはいない。うさぎさんは、はなからそういう相手だと見当をつけて選んだのである。
 この種の人格障害の女は、私は軽いのから重いのまで五、六人は知っている。どうも、大阪ー京都へんに多いらしい。作家を目指していると言いつつ、実際にはエッセイとしてすらどうかという程度のものしか書けない女とか、ちょっと芸能界にいたとか言いつつ何のことはない本当にちょっとで、それを名刺に刷り込んでいる女とか。
 優花ひらりこと渚×帆こと××愛は、恐らく統合失調症で、境界性人格障害ではない。もしそうなら、うさぎさんにもっと激しい攻撃を仕掛けてくるはずである。
 うさぎさんが本当に何かと対決したいなら、「×××」くんとか××メ××に会ったらいい。怖いぞ〜。

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都甲幸治の『偽アメリカ文学の誕生』に載っている、村上春樹論の冒頭で、リチャード・御パワーズが都甲くんに、「ベトナム人や韓国人は英語でも苗字と名前を引っくり返さないのになぜ日本人は?」と訊いている。都甲君はこれを事実として認めてしまって何か説明しているのだが、本当にそうなのか?
 引っくり返すか引っくり返さないかについては、誰がやるのか、ということがある。当人に引っくり返すつもりがなくてもあちらで引っくり返すこともある。私は自分で書かされたら引っくり返さないが、アマゾン・コムを見ても、勝手に引っくり返されている。韓国人でも、米国の大学の教員なんか見るとけっこうひっくり返っているし、ヴァイオリニストのチョン・キョンファなんか昔はキョンファ・チョンだったが、米国アマゾンでは今でもひっくり返っている。ヨーヨー・マなんか常にひっくり返っている。ヴェトナム人については、レ・ドク・トとやってト氏にする特殊な例である。ウィキペディアで見ると、韓国政治家の英語版はひっくり返っていないが、日本の政治家はひっくり返っている。しかしそれはあっちで勝手にやっていることである。
 しかし、キムとかイムとかなら、姓だと分かるが、日本人だとどっちが姓だか分からないらしく、たとえば私が米国人に「KOYANO Atsushi」とわざわざ全大文字にして姓だとアピールしてメールしても、しばしば「Mr. Atsushi」と返事が来たりする。それで一般には面倒で引っくり返すのだろう。
 おーい都甲くん、パワーズに説明しといてくれ。