先日ようつべで伊丹万作の「赤西蠣太」を観たのだが確か前にも観ていて、改めて名作だと思った。志賀直哉の原作については、町田栄という人が、「朝日新聞」82年10月14日夕刊で、ネタ本は講談「伊達騒動(角書)蒲倉仁兵衛(かばのくらにへえ)」『文藝倶楽部』大正二年七月十五日定期増刊号掲載、錦城斎典山(悟道軒円玉)であることが明らかにされている。
「蒲倉仁兵衛」は、同名のスパイが原田甲斐の陰謀を探り、退出するために玉笹という小姓につけ文をし、返事が来たので困ってまたつけ文を廊下へ落として、退出するもので、確かに粉本である。しかし前半の、腸捻転を起こして腹を切るところがない。