槇佐知子と桐原良光

 昨年来、古典医学研究家の槇佐知子なる者が、大塚ひかりさんにいちゃもんをつけ続けている。大塚さんは槇が訳した『医心方』を参考にしていくつかの文章を書いているのだが、槇はそれが著作権侵害だと言うのだ。バカを言ってはいけない。古典の注解、翻訳を参考にしているのだから、そんな問題は生じない。槇は小学館とマガジンハウスに内容証明を送り、小学館は検討の上問題はないとして槇宛に返答をしたが続けておかしな文章を送りつけてきている。マガジンハウスの方では、大塚さんに断りもなしに『クロワッサン』に、槇に謝罪する文章を載せたので、私が代理人として出て行って文句を言い、さらに大塚さんへの謝罪文を掲載させた。この件は小学館でも弁護士に相談したが、古典というパブリック・ドメインの使用であるから問題ないとの返事だった。
 さて、槇に知恵をつけ、このような不当な言いがかりを唆したのは、日本文藝家協会の書記局長・桐原良光である。私は会員であるから、協会を通して桐原にメールを送り、やりとりした。結果として桐原は、槇をそそのかしたことは認めた。私は理事長・坂上弘宛に経緯を書いた手紙を送り、桐原に対して会員として信頼がおけないと述べ、しかるべき対処を行うよう要請した。
 その一方、昨年秋、大塚さんの文藝家協会入会について尋ねたところ、推薦入会扱いにするので四月まで待ってくれるよう返事があった。
 今日届いた文藝家協会ニュースに、新入会員として槇の名があった。私は何気なく、大塚さんに、入会の件はどうなったか尋ねてみたが、大塚さんが協会に尋ねると、「槇佐知子とトラブルがあるというので見送った」という驚くべき返事が来た。私は協会に電話を掛けて怒鳴りつけたが、「あとで上司の者がお返事します」と言うから、上司とは誰かと訊いたら、書記局長だという。桐原ではないか。それでは話にならん。
 こんな理不尽なことで、いったんはすると言っていた推薦入会を取り消すなど許されんし、その件について大塚さんに何の連絡もなかったのもおかしい。会員として問い合わせた私も、普通にいえば顔が潰れたことになる。私は「顔」などどうでもいいが、これでは書記局長独裁である。私は断乎協会に抗議し、推薦入会をやり直させるつもりである。
 以下、大塚さんの怒りの声である。
http://d.hatena.ne.jp/maonima/20080429

 (小谷野敦