シーモンキー

 私が小学校四年生のころ、通信販売で「シーモンキー」というのを買った。小さな海老なのだが、プラスチックの円筒に水を入れて卵から孵す。成長してもごく小さいが、ポンプの代わりに毎日別の容器に中身を移して戻すことになっており、私はラーメン丼を使ってせっせとやっていた。蓋もついていなかった。

 ある日、遊びに来ていた従妹がこれを倒してしまい中身が全部流れ出て私は泣き喚いた。金魚じゃないから掬って戻すこともできず、最初から全部やり直さざるをえなかったのだ。家族は知っていたから注意していたのだが、従妹は珍しがって手にとったのでそんな惨事が起きたのだ。

 まだファミコンもない時代で、子供はこんなもので遊んでいたし、小学館の学習雑誌や学研の科学と学習が届くとその付録に熱中したもので、いろいろと「ない」時代だったんだなと思う。