星3つ - 評価者: 小谷野敦、2025年4月25日
1976年から77年まで「読売新聞」に連載された伝奇小説で、78年に死去した柴錬の事実上の遺作である。田沼意次、平賀源内、上田秋成、高山彦九郎ら実在の人物に対し、前天皇の異母兄だという閑院和仁こと禁門影人という謎の男を主人公にしている。はじめ源内も影人も、日本を開国させようとする田沼の協力者として働き、長崎の五島列島から金塊をひきあげたりするのだが、最後は田沼と決裂し、源内は入牢して牢内で仏像を彫って自殺する。途中までは面白いのだが最後のほうで筋が迷走してしまった感がある。同じころ私は朝日新聞で司馬遼太郎の「胡蝶の夢」を読んでいた。
