『千輪の華』は津村節子が1983年から東京新聞などに連載した長編で、85年に新潮社から刊行され、のち文庫になっている。
主人公の真野祥子は、23歳で短大を出て働いているが、二歳年下の佐伯俊彦という学生と恋仲になって同棲するが、妊娠する。しかし佐伯には結婚する気はなく、心中することになって睡眠薬を飲んで海へ飛び込む。祥子は助かるが胎児は流産し、佐伯はそのまま下関の実家へ帰ってしまい、いい家へ養子に行くという。
暗い気持ちになった祥子は下関まで行くが、そこで知った唐津の女花火師に関心を持ち、そこから花火師の徒弟となり、花火の道を歩んでいく、という話である。