エッセイストクラブ賞受賞作というので読んでみたが、半分くらい読んで、これは私には合わない
と思いやめた。まず著者の中学時代の話が、あまりにも特殊すぎて受け入れるのが難しく、こんな
環境でよく勉強できたなと思う一方、著者の両親はどうしていたのかが書いていない。次にこの著
者はラインホルド・ニーバーの言葉をNAの集会に行くまで知らなかったらしい。精神科医ってそ
の程度のものかと驚いた。あと自動車マニアらしいのが、自動車は無差別殺人機械だと思っている
私には受け入れられない。
むろん、人によっては面白かったり有益だったりするのだろう。
(小谷野敦)