住井すゑ「橋のない川(一)」アマゾンレビュー

天皇制と差別

星5つ

住井すゑの生まれた奈良県を舞台に、誠太郎、孝二の二人の兄弟を主人公に「エッタ」と呼ばれ差別される人々を、天皇制との対比で描いていく。私は天皇制があるから差別があるのだといった非論理的な主張はしないが、人が生まれで差別されるということは天皇制も同じである。中でも、乃木希典明治天皇に殉死したのを話して校長が泣いたのを見て子供が笑うところが痛快であった。