ゴジラ1万2千トンの衝撃

初代ゴジラは、身長50メートル、体重2万トンという設定だった。今では、この大きさの生物が地球上で直立できないことは常識になっているが、そのことはここではひとまず措く。

 1974年ころ、テレビアニメ「コン・バトラーV」で、巨大ロボットコンバトラーVの歌に「身長57メートル、体重550トン」というのがあったが、そのためか、私の若いころ(1980年代)には、ゴジラの2万トンというのは重すぎだというのが常識になっていた。実際、象や鯨と比べても、シロナガスクジラが30メートルで200トンなのと比べたら、いくらゴジラが筋肉質で太っていても二ケタも違うのはおかしいと思った。

 柳田理科雄の『空想科学読本』は、最初の巻(96年)では、ゴジラの体重を「510トン」と算出しており、なるほどそうだろうと私も納得していた。ところが最近出ている新版では、「1万2千トン」と書いてあると聞いて、何かの間違いだろうと思って調べることになった。

 どうやら発端は、山本弘の『こんなにヘンだぞ! 空想科学読本』(2002)で、ゴジラの体重が軽すぎると書かれたことらしい。柳田はウルトラマンについて、860トンとしていて、ウルトラマンゴジラより重いのか、などと散々突っ込んでいた。柳田はこのころには間違いに気づいたと言い、最終的に1万2千トンになったという。山本自身の計算では、初代ゴジラが2100トン、84年ゴジラ(80メートル)が8700トン、91年ゴジラ(100メートル)が1万7千トンとなっており、柳田は果たしてどのゴジラについて1万2千トンと言っているのか分からないのだが、初代ゴジラだとすると重すぎるから、100メートルゴジラのことであろうか。しかしそこからもとに戻ってみると、コンバトラーVは軽すぎるらしい。