「精神的貴族」と吉永小百合

吉永小百合主演の映画「私、違っているかしら」(1966)をアマプラで観た。これは森村桂のエッセイが原作で、ほぼ森村の実体験、学習院大学を出て就職に苦労する話である。ただし森村はエッセイストとして破格の成功を収めたが、生きづらい人だったようで、最後は自殺しているから、暗い気分にもなる。

 その中で、大学の就職課ではきはきと話しながら、「私、精神的貴族だもん」と言うので、はっとした。

 前年の1965年、「伊豆の踊子」の撮影に訪れた川端康成は小百合に夢中で、「あなたのことは精神の貴族だと考えております」といった手紙を送っていた。私はさぞ気持ち悪いおじいさんだと思っていたのだろうと思っていたが、もしかしたら当時そういう言い方がはやっていたのかもしれない。そういえば西部邁が子供たちを公立学校へ行かせていて、精神的貴族になってほしいと言っていたが・・・