少年マンガと少女マンガ

少年マンガに比べて少女マンガの批評が少ない」と書いた人に対して、「少女マンガのほうが批評が多いだろう」という声があがっている。確かに橋本治のとか、少女マンガは論じられているようには思えるが、手塚とか石ノ森、永井豪、白戸三平、水木しげる、赤塚、藤子、長谷川町子など考えると一概にそうも言えない。だいたい現代の日本は膨大な量の「マンガ」が流通していて、少年、少女だけでなく大人マンガ、青年マンガ、レディコミなどジャンルも数多いし、何をもって批評とするのかもはっきりしない。礼賛も批評か、文庫化された際の解説文も批評か、と考えると、学問的事実を確認するのは不可能に近い。そもそも全体の中での「少女マンガ」の比率という問題もあるし、たとえば「キャンディ♡キャンディ」は批評されているのかといった問題もある。

 私はむしろ最近「批評」という言葉が定義されずに流通し、定義についての議論も起こらないことが問題ではないかという気がする。