古い『文學界』を整理していたら、2000年の号に、ちょうど柴田元幸の翻訳が出たリチャード・パワーズの『舞踏会へ向かう三人の農夫』という長い小説についての座談会が載っていた。柴田、若島正、高橋源一郎、佐藤亜紀によるもので、前のほうを読んだがみなこの小説に感銘を受けている。
私は少し前にこの小説の柴田訳を最初のほうだけ読んで挫折している。三つの話が交互に出てくる構成らしいので、落ち着いて読んだら読めるかもしれないが、時間がかかりそうだ。もし人生が永遠にあるなら読んでもいいが、そうではない。まあ私が読んでいた限りでは退屈だったが、あとのほうへ行くとそうではないのかもしれない。
私は『ユリシーズ』とかピンチョンとかの前衛小説は苦手な人間だが、このパワーズのやつは、何か悔しい感じがする。アマゾンレビューを見ても、あまりちゃんと通読した人がいなそうだ。
だが、元ネタとなった第一次大戦ころの写真「舞踏会へ向かう三人の農夫」というのを見ても、私は別に感銘を受けないし、自分には合わなそうだなと思う。それでこの小説についてはあきらめることにした。くやしいが、仕方ない。