ピカソの絵について「わからない」ということから書き始めている新書を見たが、ピカソの前衛的な絵は、むしろ分かりやすい。「あー、めちゃくちゃなように見えてこれで××を表現してるのね」ということがわりあい分かってしまう。
音楽でいえば、ストラヴンスキーやプロコフィエフに近く、シェーンベルクやヴェーベルンとは違う。文学でいえばカフカの「変身」や梶井の「檸檬」で、「ユリシーズ」や「V」ではないのがピカソであろう。あまりに分かりやすすぎて、次の時代には「通俗前衛絵画」扱いされているんじゃないかと思ってしまいそうだ。