室井尚という人

室井尚といえば、横浜国大教授だった人で、同大に唐十郎を教授として招いたことで知られる。この人も「禁煙ファシズムと戦う」人で、『タバコ狩り』という本を出していて、これは送って来たが、タバコの害について科学的に否定しようとする本で、しかもその科学的議論が、「南陀楼綾繁」みたいな変名の人の議論からとってきている。これもパイプクラブの連載だったようだが、私はこの変名の議論を見て、ああこりゃダメだと思った。私は「禁煙ファシズムと戦う」は、程度問題についての議論(たとえば屋外を全面禁煙にする必要はないなど)で行うべきだと思っていた。室井が山形浩生とウェブ上で議論していた時も、室井のほうが分が悪かった。

 室井はそれより前、1999年に私の『江戸幻想批判』が出た時に、上の世代にも下の世代にも受けがいいだろう、中身はいいんだが何だかんだと書いていたが、ずいぶんピントのずれた議論で、あれは先輩とか学会の目上の人を批判した本で、そっちで私が迫害を受ける種類のものだと、なんで学者である室井が分からなかったのか謎である。