山家望「birth」(太宰治賞)あらすじ

 作者は男だが、主人公は女。1997年生まれの市之瀬ひかる。舞台は2019年5月。住所は横浜で、ひかるは二歳まで母に育てられたがそのあと母に棄てられたのか、施設で育って高卒後はアルバイトで生計を立てている。馬見所というところで母子手帳を拾い、母親が名前がひかるで自分と同い年であることに気づき、返すためにこどもクリニックへ持っていくが、母はとりにこない。向かいのハンバーガーショップで夕方までひかるは待っている。翌日も行くと母子手帳を受け取った母が歩いていくのであとをつけるが、母は母子手帳をくず箱に捨ててしまうので、なじる。

 ひかるは貧しく、のどの具合が悪いがカネが足りないのが怖くて医者へ行けずにいるが、腫れあがってとうとう行くと、手術が必要だと言われて泣き暮れると、医者がその場で切開してくれる。小学校から高校まで同じ名前の学校へ行っていたとか、意味の分からないところがいくつかある。