三輪茂雄「粉の文化史」アマゾンレビュー

5点

 1985年にNHK市民大学で放送されたものを書籍化したものだが、著者は名古屋大学工学部を出て技術屋として会社勤務したあと同志社大学工学部教授となった粉体工学専門の人だが、それ以外の考古学や歴史、文学にも通じる大変面白い人物である。壬申の乱を扱ったテレビドラマで農民の老婆が石臼を使う場面が出てきたがそれは千年くらいあとにならないと出てこないから、「源氏物語」をワープロで書いているようなものだと図で示す。百年を2.5ミリで示した紙テープによる年表を作り、恐竜時代から25メートルはあるから巻いており、地球の歴史を紙テープ年表にするには115キロメートルになると言い、のちには砂時計で地球の歴史を表すとエベレストより高い砂時計になるという。石臼の歴史や、粉塵爆発、鳴き砂など話題が面白く、もっと読まれてしかるべき人だと思う