自動車は無差別殺傷装置である

zzzxxx1248.hatenablog.com長嶋有の『猛スピードで母は』の書評で、昨今の交通事故死者のことをどう考えているんだ、といったトンデモなことを言っていたので……。じゃあ、自殺をテーマにした小説は? 殺人鬼が出てくる小説は? 人類滅亡小説は? って言いたい)

 自殺したい人はすればいい。殺人鬼が出てくるからといって殺人鬼になる者はいないし、人類滅亡小説を読んで人類を滅亡させられるやつはいない。第一、それら小説で殺人鬼は恐ろしいもの、人類滅亡はあってはならないものとして描かれるのが普通だが、ここでは猛スピードで車を走らせるのがかっこいいこととして描かれている。だが自動車は無差別殺傷装置であり、最低限の必要に応じて交通ルールを守って走らせるべきものだ。「テルマ&ルイーズ」もよくない映画である。

小谷野敦