小杉健治「絆」アマゾンレビュー

2015年2月13日に日本でレビュー済み

 
「泣ける本を教えて下さい」とか言うやつがいるのを見て、そういう本の探し方をするんじゃねえと思ったが、これは泣く。下町で育って美貌ゆえに玉の輿に乗った女性は、夫殺しの罪で起訴された。語り手の記者は、幼い頃同じ町内に住んでいたから、あの女性が殺人を犯したとは信じられず法廷に臨む。本来の弁護士に代わって立った原島弁護士は、彼女の過去を容赦なく暴いていく。推理作家協会賞受賞作。直木賞では、文章が荒いとかで落とされたが、こういう作品に直木賞をとってほしいんだよなあ。