馬部隆弘「椿井文書」アマゾンレビュー

2020年4月19日に日本でレビュー済み

 
最後の章の、どんな風に偽文書が利用され、是認されていくかというところが、恐ろしい話として面白かった。もっとも、椿井文書が関係しているのが武将などではなくて神社の由来など地味なところなので、一般読者にはそのへんは退屈かもしれない。町おこしのために行政が偽文書に頼り、学者がついそれに手を貸すという構図が恐ろしい。瀧浪貞子みたいな名前も出てくるし、京田辺市周辺から著者への反論が多く出てくるというのも怖い。
 自説を否定された学者が、それを撤回することはまずなく、むしろ復讐を企てたりするから怖い。だから最後の章は、著者を心配するホラーのようだった。