塚田穂高編「徹底検証 日本の右傾化」アマゾンレビュー

2020年8月4日に日本でレビュー済み

 
「右傾化」という語は重言で「右傾」だけで意味をなす。さてこれは論文集だが、「徹底検証」と謳いながら、天皇制に関する章がない。事実上のリーダーなのであろう島薗進が「国家神道」などを論じた章で、戦前のような神聖天皇に戻そうとする動きを右傾と見ているほか、ジャーナリストの藤倉善郎幸福の科学を論じた章など、幸福の科学天皇を軽んじていると怒って書いているみたいで、もしここだけ読んだら右翼本だと思いかねない。編者の塚田穂高にしてからが、天皇に敬語を使いつつ懸念しているみたいで、天皇制に関してのスタンスがぐらついている。極めつけは最後に付された年表で「昭和天皇崩御」とか「天皇陛下」とか、左翼なら使わない言葉が平然と並んでいる。いったい右翼なのはどっちか。私はこういうのを「容天」と呼んでいる。