ちくま新書『世界哲学史8』で千葉雅也君が、ポモ批判に全部反論していると言っていたのであまり信用しないながら図書館で取り寄せて見てみたがまあ思ったとおり普通のポモ解説でしかなかった。いや別に失望はしていない。
千葉君も、「近代」が終わっているとは思っていなくて、それでも「ポストモダン」と言うのは許されるだろうと書いているが、いや許されないよと。
学問として成立していないフロイトやニーチェも登場するが、千葉君が私の『哲学嫌い』を読んでいるとも思えないし、だいたい私は哲学(独自哲学)が大学で展開すべき「学問」かどうかを疑っているので、そもそも前提からして違っているので、千葉君には改めてそこから考え直してほしいのだが、それをやると自分がやってきたことが全部学問じゃなくなるからそれはできないのかもしれない。まあ仕方のないことだ。
(小谷野敦)