面識がなくてもできること

 大杉重男古井由吉について書いている。

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 古井の文学は私はもともと評価しておらず、その点では大杉のまとめは凱切だと思うが、ここで、古井のセクハラにあったとされている女性作家は清水博子だろう。そして清水が差別語で罵った作家というのは川上未映子であろう。私は清水の生前、「笙野頼子から「川上未映子をいじめたんだってな、絶交」と言われた」というメールをもらっていて、死後それを公表したことがあるのだが、その後笙野が、川上とは面識がない、と書いたため、ある人から、私が書いたことが間違っているのではないかと言われたことがある。だが「差別語で罵った」となれば、面識がなくてもそういうことはありうるのである。私の書いたことが間違っていると思っている人がほかにもいるかもしれないので一応言っておく。

小谷野敦