「お前」と呼ぶお前は

 『ペリーヌ物語』の主題歌で「お前を見守る星が」とある。ペリーヌを「お前」と呼んでいるこれは何者であろうか、ということが気になって、主題歌における「お前」について考えた。
 歌謡曲なら、男が女を「お前」と呼ぶことはある。
 ほか『母をたずねて三千里』でも「けれどマルコお前は来たんだ」とやっている。妻に訊いたら「神」だろうと耶蘇みたいなことを言う。『トム・ソーヤーの冒険』でも「お前なら行けるさトム」である。だがこれは最後に「走ろうぜ」とあるから、「お前」と言っているのはハックルベリー・フィンのようでもある。
 『マッハバロン』のエンディングでは「お前が静かに眠れる世の中が」とある。『電人ザボーガー』のエンディングでは「俺とお前は」とあるが、これは主人公人間が、ロボットのザボーガーをお前と呼んでいる。
 『ガンバの冒険』のエンディングにも「お前と仲間のどくろを映す」とあるのだが、これはガンバのことのようで、しかしその前に「ガンバは」と三人称で出てくる。
 どうも「お前」と何とも知れない存在に呼ばれるのは、子供、ロボット、鼠といった存在に限るようである。