鴻巣友季子新訳『風と共に去りぬ』(新潮文庫)が図書館にあったので借りてきた。冒頭の部分は、
スカーレット・オハラは実のところ美人ではなかったが、たとえばタールトン家の双子がそうだったように、ひとたびその魅力の虜となった男たちには、美人も不美人もなくなってしまうのだった。
である。うーん。
大久保康雄の旧訳は、
スカーレット・オハラは美人ではなかったが、双子のタールトン兄弟がそうであったように、いったんその魅力にとらえられてしまうと、そんなことに気のつくものは、ほとんどないくらいだった。
である。
原文は、
Scarlet O'Hara was not beautiful, but men seldom realized it when chaught by her charm as the Tarlton twins.
である。「男たち」は原文通り復元したのだが、「実のところ」とか「たとえば」など、余計な気がする。やはり大久保訳のほうがすっきりしている。
週末に出る岩波文庫の荒このみ訳がどうなっているか知らないが、新訳というのは、旧訳と変えなければならないという意識のために変な訳になってしまうことが多い。