粕谷一希が死んだのだが、思想的に右翼だったということとは別に、人格に問題のある人だったとしか私には思えない。
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20121122
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20130212
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20130918
 藤原書店に送った内容証明を添付しておく。粕谷にも当時手紙を出してどういうつもりか訊いたのだが返事はなかった。(『粕谷一希随想選』の月報で平川上皇は、粕谷には内緒にしたと書いているが、手紙も奥さんが握りつぶしちゃったのかな)。なお平川は「気をゆるしてストーカーに及んだ元学生の話をしたら訴えられた」などと書いているが、それは全然事実ではなく、私が藤原書店に電話して抗議し反論を書かせろと言ったのに断り、さらに単行本でもほぼそのまま載せたから訴えたのである。いい加減なことを言ってはいけない。平川は私をなめていたのである。

質問状

 貴社より昨年十一月に刊行された粕谷一希対談集『<座談>書物への愛』における平川祐弘との対談には、当方の名誉を毀損する箇所がある。私は同対談が貴社の雑誌『環』に掲載された際、貴社に抗議し、次号に反論を書かせるよう要求したところ、西泰志なる編集者が対応し、貴社はそれを理由なく断った。
 問題となるのは以下の箇所である。同書一五六頁。
平川「この人は、次々と才色兼備の女子学生に言い寄ってふられて」
 そのような事実はない。
粕谷「かなり悪質だね」
 私に対する誹謗であり、粕谷は当該書物を読みもせずに発言している。
平川「私のところに親戚から『東大の比較の大学院に行くと宮城遥拝を強制されるとは本当か』とお叱りの手紙をいただきました」
 ここで平川が挙げている私の書物にはそのようなことは書いていない。
 なおその前段「天皇崇拝を強制する」もまた、その通りの文言はなく、単に東大比較は天皇崇拝の教授が多く、日本研究を半ば強制すると書いたのみである。
 当時貴社『環』に反論文を書かせていればこのようなことはなかったのであり、貴社の責任は重く、また言論に携わる者として不誠実かつ不道徳であると考えざるを得ない。対談集刊行時、私が抗議した箇所がそのまま掲載されているとは思わなかったため、大きな驚きと日本の言論に関する絶望を覚えざるを得ない。
 従って日本の健全な言論の成立のため、場合によっては法的手段に訴えることも辞さないものであるが、貴社において謝罪し同書を絶版とするのであればその限りではない。その意図があるか否か、お尋ねしたい。本状到着後二週間以内に回答をお願いしたい。

                          小谷野敦
藤原書店社長 藤原良雄殿
六月七日