久しぶりに駒場へ行ってきたら、学生時代からある、イーグルという喫茶店が、インドカレー店になっていて愕然とした。あのあたり、喫茶店というものが皆無に近くなり、しかも禁煙の店ばかりなので難儀した。もう駒場へは行かないことにする。
 大江健三郎が登場したころの「東京大学新聞」を見ていたら、東大社会学科卒の木下文代(1937- )という人が『虹』(青春出版社)という小説を出し、赤門から初の女性作家、という記事があった。この『虹』は古書でも見当たらず、どうもボート部でのことを描いたものらしく、二作目も執筆中とあったがこれは出なかったようで、この人もその後どうなったか分からない。皐月会で調べたら分かるだろうが。
 しかし東大卒の女性作家というのは驚くほど少ない。先に死んだ佐藤亜有子がいるくらいで、岸本葉子さんが小説を書いているのと、早大から東大院の有吉玉青がいるが、学部卒となると、学者や評論家で、小説も書いたというのすら見当たらない。