栗原さんに教えられて、『サンデー毎日』9月15日号の牧太郎の連載「青い空白い雲」を見てきた。藤圭子が、川端が自殺する前、藤のファンだった川端に頼まれてホテルオークラで会い、「セクハラ」めいたことをされ、その後川端宅を訪ねる予定だったが、川端の自殺でそれがなくなったといい、藤は、自殺には自分が関係しているんじゃないかと言っていた、ということが書いてある。
 この言い方は、『事故のてんまつ』の鹿沢縫子と同じだ。川端が藤に会った時期を推定すると、三月十七日に盲腸の手術を終えて退院しているから、三月下旬ではあるまいか。このころ、藝術選奨の選考会でホテルオークラへ行き、小林秀雄に会っている。
 もっとも牧は、もっと知っているが筆を収めたという感がある。
 私は牧太郎という人は今の今までまったく知らない人だった。岩見隆夫なら知っているのだが。で、1996年に松本楼藤圭子から二時間近く話を聞いていて、その時上のほうでは、マスコミあがりの人権派大学教授が牧を弾劾する演説をしていて、牧からの反論がなかったので、牧は反論できなかったと著書に書いた、名誉毀損だとある。これはたぶん浅野健一だろう。

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