あえて匿名の批判者に答える

 先日、さる匿名のブログで私が批判されているのを見つけた。昨年から、匿名の批判者には答えないことにしているのだが、理由があって答える。批判者は、私が小出裕章をバカと言い、博士号も持ってないのかとツイッターで書いたことを批判し、私を尊敬していたが錯誤であったからやめると呼号している。
 私が小出をバカだと言ったのは、ウィキペディアに書いてある北朝鮮に関する発言を見たからで、これは引用元も明記されている。
 次に博士号だが、小出は、本人が言うのか他人が言うのか知らないが、原発反対だから京大で助手(助教)のままなのだと言われている。しかし、理系の研究者は、普通は博士号を持って一人前である。これは文系とは違う。ノーベル賞をとった田中さんは博士号がなかったが、だから大学の教員ではなかった。だから、助教のままなのは博士号がないからではないかと私は疑念を抱いたのである。まったくそれだけのことで、そもそも理系の研究者で博士号をとっていないでよく京大の助手になれたと思うくらいである。
 私が匿名批判に答えたのは、その人物が、ツイッターだからこういう放言がなされるのだと書いていたからで、私はツイッターであっても無責任なことを言っているつもりはない。あと、匿名で人を批判する者が私を尊敬しているというのは、紛れもない錯誤であるから、尊敬するのをやめたのはまったく正しい。
 (小谷野敦