陰険な武藤康史

 講談社文芸文庫の里見とん『荊棘の冠』を見たら、またしても巻末の文庫一覧から、中公文庫の『毛小棒大・木霊』が抜けていた。まったく武藤康史、どこまで陰険な男なのであろうか。それで文芸文庫編集部へ電話して苦情を言ったら、編集長氏は、まったく知らなかった、と言うのだが、校閲が何も言わなかったなんて考えられない。講談社校閲というのはそんなに無能なのか。さらにこの編集長氏、「増刷の場合は」と言う。まあ増刷なんかしないだろうと思って聞いていたら、「武藤さんと相談して」と言うから仰天した。相談も何も、これは「書誌」なんだから、入れるのが当然であろう。「しかし武藤さんの著作物ですから」。著作物なら、「絶版・品切れでない文庫は全部入れる」と謳っている書誌から、自由気ままに気に入らないものを除いていいというのか。それはもはや、学者としての倫理を失ったというものだ(まあ、既に失っているんだがね)。
追記)翌日、編集者から電話があり、私の『里見とん伝』のことと勘違いしていたと言い、今度刊行する時は必ず入れると言っていた。武藤とは連絡がとれない由。

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著書補足
『名前とは何か』122p
ジョナサンの愛称としてジョン、ジョニーを挙げているが、ジョンはジョナサンとは別の名前でもあり、それは記載すべきでした。ただし「ジョンはジョナサンの愛称」という主述形式では書いていないので、間違いではありません。