漫画日本の歴史

 中学生のころ、集英社の『漫画日本の歴史』(1968)を私は愛読していたのだが、最後の巻は当然現代史だった。ところが、ポツダム宣言受諾のところで、人々は「日本は負けたのだ」「そんなバカな」と言って嘆き悲しんでいる。当時の私は、みな戦争が終わって喜んだと思っていたから、意外に思った。しかし今考えても、喜んでいる人々も描写しても良かったのではないかと思う。
 さらに、東京裁判のところが衝撃的で、西洋人の裁判官たちが「どうして日本人は天皇のことを悪く言わないのだろう」と不思議がり、説明役のカラスが「外国人には日本人の天皇に対する気持ちがわからないんだな」などと言っていた。だから私はこれまで、これは右寄りの歴史漫画だなと思ってきた。
 ところで「監修」に相当するのは和歌森太郎である。和歌森は、むしろリベラル派として知られたらしいが、どうもそういう印象がない。柳田国男の弟子だからであろう。天皇についても、古代以来民衆が親しんできた、といった説に傾いていた趣きがある。いくら「監修」でも、和歌森の意向はこの漫画に反映されているだろうし、そこは気になるのである。

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おっ、と乗り出したくなるような事件(?)なのだが、悪役とされた人があまりに小物なのでやる気を失った。