鴎外の娘・小堀杏奴の『朽葉色のショオル』は、私は旺文社文庫版を持っているのだが、講談社文芸文庫版には年譜があって、長女・桃子は横光利一の次男・佑典と結婚、長男・鴎一郎は、嘉治玲子と結婚したとある。この玲子というのは、聖心女子大学名誉教授の小堀玲子先生だと思うのだが、ウィキペディアに、嘉治隆一の娘とある。閨閥である。

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木村荘太自殺の原因が、十和田操「フランス製の豆靴」(『小説公園』1955年10月)に書いてある。『魔の宴』は、当時忘れられた荘太が朝日新聞社に持ち込んで、出版が決まった時、「アプレゲールども、のいたのいた、俺を誰だと思う」とまで喜んだものだが、ゲラを見た奥さんが、前の夫人のこととか全然知らず、嫉妬で荒れ狂ったのが原因で自殺したというのだ。十和田は当時朝日新聞勤務。木村は第二次『新思潮』同人で谷崎の友人。(谷崎潤一郎伝補遺)