アラビアンナイトは面白いのか

 『アラビアン・ナイト』ないし『千一夜物語』だが、シンドバッドとかアリババとかいうのは、これの傍系物語らしい。鳥越信は、子供の頃シンドバッドやアリババを読んだが、大人になって本物を読んだら、それ以外のほうがずっと面白かったと書いている。
 しかし、本当に面白いのだろうか。というわけで、今朝からちくま文庫の、佐藤正彰訳を読み始めたのだが、肝心のシャハラザーデの語るお話というのがどうも面白くないし、第一話の中で話が始まる。これはバロック小説などによくあるのだが、それでややこしい。とにかくアラビア人も西洋人と同じで、やたらと「寝とられる」ということを気にする。そして悪鬼が出てきて人を動物に変えてしまう。そればっかりで、今中途でやめて憮然としているのだが、果してこれから先へ行くと面白い話が出てくるのだろうか。
 これはもともと、英国のバートンの訳、フランスのマルドリュスの訳などで広まったもので、日本では前嶋信次と池田修が、原典から全訳して東洋文庫に入っているが、もし面白い話があるなら、もっと広まってもよさそうなものだが、そうでもない。初めは、エロティックな部分が面白がられて、谷崎潤一郎も多分挿絵入りのバートン版を入手して、エロいところを拾い読みしたことは、『蓼喰ふ蟲』にも書いてある通りだが、それでさほど感心したようでもない。
 前嶋の『アラビアンナイトの世界』を見ると、シャハラザーデが、明日はもっと面白い話をしますと言い、それが本当に面白い、と書いてあるのだが、面白くはない。私が王だったら、二日目くらいにシャハラザーデは殺されているだろう。
 結局あれではないか、『アラビアンナイト』が面白いというのは、オリエンタリズムではないのか。アラブ女の黒人奴隷との密通とか、そういうのだけで西洋人は興奮したのではないのか。いや、もし誰かが、第何巻に入っているこの話は本当に面白い、と教えてくれたら、それはありがたく読むのだが、そういう話もとんと聞いたことがない。

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http://uraaozora.jpn.org/1999.html
この年表は便利だと思っていたのだが、こないだ2000年以降の分がアップされて、妙に作品数が増えた。しかも、載せている基準が分からない。芥川賞候補作は入れているのかと思ったらそうでもない、未だ作家になってもいないようなのの作品も入っていて、しかも私が『文學界』に載せた三本は全部入っていない。映画化されたのもあるのに。で、こいつに、どういう基準で作っているのかとメールを出したのが9月15日で、今もって何の返事もない。メルアドは以下の通り。誰だこいつ。

miyajun@sky.bbexcite.jp