何を騒ぐか

 戸籍上二百歳だの何だのと、何を騒いでいるのかと思う。これは『中央公論』の松原隆一郎が正しいので、年金の不正受給だけが問題であり、死亡を行政が把握していないというのは、リベラリストにとってはいいことではないか。まあ新聞を読んでいないから今どういう論議を誰がしているのかは知らないが、「国民総背番号制」に反対してきた人たちは、今こそ、把握していないのはよいことであると声を揃えるべきであろう。

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 英国でも米国でもドイツでもオーストラリアでも、40代が指導者になる時代に、三役が50代だと言って若いと思っている自民党ってバカ? 

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『比較文學研究』の最新号が届いた。西原大輔氏が、私の『谷崎潤一郎伝』と『里見紝伝』の書評をしてくれている。前に、谷崎伝のほうを誰かが書くと聞いていたのだが、載らないからもう載らないのかと思っていたので、ありがたい。
 さて全体については措くとして、西原氏は、谷崎伝は面白かったが、里見伝は「事実の羅列」になっていると、批判的である。私はふと、西原氏とは学問観が違うようだなと思った。書誌学というのがあるが、あれはまさに事実の羅列である。事実を確定するのが学問である。文学研究においては、この、事実の確定をなおざりにした、感想文的論文が多すぎる。特に「テクスト論」とか「作品論」といったものに、伝記的事実を知っていたらぷっと吹き出してしまうようなものが多い。
 一般読者ないしはマスコミ書評で、「事実の羅列に終わっている」と評するならいいのだが、学術雑誌で「事実の羅列」というのは困る。それでは鴎外の史伝三部作などどうなるのか。『谷崎潤一郎オリエンタリズム』では、西原氏は谷崎のシナ旅行の行程という「事実」をはっきりさせているので、分かっていると思っていたのだが。 

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佐高信中島岳志をなぜ私が「『左翼』のような人たち」と書いたかといえば、佐高は佐藤優を起用し、中島は天皇制是認論者だからである。そういうことが分かりもしないでこの匿名のバカが「稚拙な印象があります」って書くな。死ね!